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はけのふもとに建つ

瓦屋根の平屋住宅

 vol.9 小金井市Kさま邸 

小金井市には「はけ」と呼ばれる、高低差15メートルの段丘崖があります。豊かな緑、小さな水路など風情ある景色が広がり、心安まるエリアとなっています。
その「はけ」のふもとに建つのが、朱色の瓦屋根と黒い杉板貼りの外壁が印象的なKさん邸。昨春竣工したばかりですが、昔からここに建っていたかのようにしっとり溶けこんでいます。
今回は、タカキホームと建築家の石黒隆康さん(BUILTLOGIC)が建てたこちらの平屋をご紹介します。

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杉板貼りにブラックの塗装を施した外壁と、朱色の瓦とのコントラストが美しい。後ろにはクヌギがそびえます。

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軒下の垂木は、先端部分に角度をつけてシャープにし、すっきりとした印象に仕上がっています。

ご夫婦と会社員の息子さんの3人で暮らすKさん。高層マンションよりも、地に足のつく平屋住まいに憧れていました。
住み慣れた小金井市で土地を探し、2年かけて見つけたのが現在の場所。クヌギの大木が側にある静かな住環境に一目ぼれしたそう。
「タカキホームとは、住宅イベントで知り合いました。それまでの不動産巡りで気疲れしていたので、スタッフの気取らない雰囲気や誠実な人柄に安心できたんです。紹介してもらった建築家の石黒さんも、『住み手』を大切に設計されるところに、惹かれました」と振り返ります。

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アプローチから玄関までは、レンガで統一。外と中とがつながり、広々と感じます。

華美な装飾や奇をてらったデザインは必要ない。きちんと建てられた文化住宅風の家に住みたい、というのがKさんのご希望でした。
石黒さんは、ロジックに基づき快適で機能的なデザインをモットーにする建築家。
タカキホームは、良質な木材と高度な技術に定評のある工務店。
3者でじっくりと打合せを重ねること約1年。文化住宅風のレトロな佇まいと、現代の機能美とが合わさった家が完成しました。
屋根の勾配や窓のサイズ、取付位置など細部まで綿密に計算されているため、全ての部屋に自然光が入り、どの窓からも美しい借景が望めます。
どこか包まれているような安心感があるのは、場所によって天井の高さや木材を変えたりしているから。
ひとつひとつに理由があるのですが、堅苦しさは微塵も感じず、自然体でいられます。
「動線がよく、住みやすいですね。冬は日差しが入って暖かいし、夏は漆喰壁だからジメジメしません。とても快適です」と、ご夫婦ともに笑顔です。

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「暮らしやすさ」と「美しさ」

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ソファーがあるリビングは構造あらわし天井で開放感を出し、食卓テーブルがあるダイニングは低めの天井で落ち着きのある雰囲気に。

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リビングの床はクルミの無垢材を使い、床暖房を導入。冬でも裸足で歩きたくなる質感です。

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ご主人の部屋。オットマン付きソファーに座り、オーディオを聴くのが最高のくつろぎタイム。窓からは、庭とはけの緑が望めます。

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奥さまの部屋。ご主人の部屋は中庭をはさんで向かいにあります。

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すっきりと明るい浴室。天井は水に強いサワラ材を使用。さわやかな香りで、温泉のようにくつろげそう。

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部材を太めに揃えた「吉村障子」が、モダンな印象。他の部屋もカーテンは使わず、ロールスクリーンと木製ブラインドを採用。

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古い時代の簞笥や、どっしりとしたソファ、さりげなく置かれたアート。おふたりが以前から愛用してきたものは、どれも新居にぴったりと馴染んでいます。
「持ち物へのこだわりが特別ある、ということではないんです。たまたま見つけたものばかりですよ」と謙遜されますが、その審美眼によって選ばれた什器や小物類こそが、一層「はけの平屋」を輝かせ、居心地よくしているのは間違いありません。

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蔵書がずらりと並ぶ壁面の本棚は、家具職人による造作。

撮影・石田 篤

小金井市Kさま邸
構造 木造在来工法
平屋(地上1階建て)
敷地面積 205.23㎡
建築面積 96.13㎡(建ぺい率46.85%、許容50%)
延床面積 91.33㎡(容積率44.51%、許容80%)


設計:BUILTLOGIC

about

  the Architect

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建築家
石黒 隆康さん

いしぐろ たかやす

1級建築士/照明コンサルタント
事務所名「BUILTLOGIC(ビルトロジック)」は、「建てる」+「論理的に」を組み合わせた造語。
感覚的なデザイン作業に、論理的な検証作業を組み合わせることで、快適かつ機能的な住宅を提案する。
「住まい手」を大切にした設計で、依頼主からはもちろん、職人からの信頼も厚い。

BUILTLOGIC  ビルトロジック

http://www.builtlogic.com

取材・文

渡部和泉 わたなべ いずみ

ライター、フードコーディネーター、国際中医薬膳師。 著書に「季節の手づくりジャムの本」、「家族ではじめる、小さなカフェ」などがある。東京の郊外に建てたWBハウスで、月に1日だけオープンする「cafe mel」を営む。
https://www.cafemel.com/

“タカキホームの家で暮らしています”  index

vol.1

ガーデニングを楽しむ、花いっぱいの住まい

―小金井市Yさま邸―

vol.2

エアコンなしでも快適に暮らせる、パッシブハウス

―小平市Tさま邸―

vol.3

急な来客にも慌てない、いつでも歓迎できる家

―小金井市髙木邸―

vol.4

タカキホームの「キホンの家」、モデルハウスの見所

―東大和市モデルハウス―

vol.5

薪ストーブのある暮らし パッシブハウス・冬編

―小平市Tさま邸―

vol.6

この先も安心して暮らせる、平屋のような2階建て

―小金井市Tさま邸―

vol.7

母と娘の創作基地は「パオ」のような8角形の家

―所沢市Kさま邸―

vol.8

前居の建具を引き継いだ、北欧風の大人かわいい一軒家

―三鷹市Oさま邸―

vol.9

はけのふもとに建つ、瓦屋根の文化住宅

―小金井市Kさま邸―

vol.10

人と人、空間と空間をつなぐ、スタイリッシュな3階建て

―小金井市Yさま邸―

vol.11

築30年の実家をシンプルでナチュラルな空間にリフォーム

―西東京市Yさま邸―

vol.12

西荻窪の居抜き物件を、パステルカラーの刺繍教室兼ショップにリフォーム

―杉並区西荻窪『Atelier アンナとラパン 刺繍道具店』―

vol.13

中古戸建てを建築家とともにリフォーム。グレーが基調の洗練された室内

―西東京市Gさま邸―

vol.14

“ガーデニング霊園のいせや”が作った武蔵小金井駅前のカフェラウンジ

―株式会社いせや ロゼリア・ラウンジ―

vol.15

家族が健やかに暮らせる、通気断熱WB工法の家

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vol.16

住居+プライベートネイルサロン。モノトーンでまとめた一軒家

―杉並区Nさま邸―

vol.17

家事・育児動線が考えられた、北欧モダンハウス

―小金井市Mさま邸―

vol.18

建築家とともにリノベーション。骨董品店オーナーのアトリエ兼自宅

―杉並区Sさま邸―

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