vol.6 DIYのススメ
大工仕事は未体験。釘もまっすぐに打てない私ですが、家を造るときは何かしらのDIYをしてみたい!という希望をずっと持っていました。
それというのも、趣味であるカフェ巡りをしていて、「なんだか温もりを感じる素敵な空間だなあ」と思う店は、大抵オーナー自身がDIYをしていることに気付いたのです。
「床板貼りから自分でやった」という強者から「壁の塗装のみ」という人まで程度の差はありますが、どの店も「その人らしさ」が感じられるし、オーナーもなんだか誇らしげ。
「いつか私も…!」と憧れていたのです。
ところが、工務店探しをしていた時にDIYを申し出ると、「家の完成度に影響が出るので…」とか、「お引き渡しの後でしたらご自由にどうぞ」とか、断られることが多かったのです。
工務店の立場としては、職人の作業を邪魔することになるし、素人が手を加えることはいろんなリスクがある。できれば受けたくない気持ち、よく分かります。
でも、タカキホームは「いいですね!職人にも相談してみますね」と即答してくれたのです。
思えば、こちらの希望はどんなことでも一旦受け止め、柔軟に対応をしてくれるのも、タカキホームに決めた理由のひとつでした。
もちろん構造上の問題などでNGだった案件もありましたが、理由をきちんと説明してくれるので、わだかまりは一切なし。最後まで気持ちよく家づくりをすすめられました。
私たちがDIYをしたのは主に塗装。壁に珪藻土、ドアにペンキ、仕切り板に黒板塗料、屋内用木材と全ての床に天然オイルをそれぞれ塗りました。塗るだけよね、なんて軽く考えていたけれど、素人にはかなりきつい、大仕事。
プロがやれば短時間で完璧に仕上がるはずなのに、何倍もの時間がかかったうえ、黒板はザラザラした仕上がりで描きづらいし、床にはペンキと傷をつけてしまったし、壁はデコボコ。
でも、おおざっぱな我々夫婦は「あえてのビンテージ加工!」と前向きに捉え(笑)、良しとしています。
リビング扉は紺色のペンキを、内窓の枠にはアイアン塗料を、それぞれ自分で塗りました。
ベランダ用の木材に、防腐・防カビ効果などがある保護塗料を塗りました。全体にヤスリをかけてからしっかり塗り、乾いたらもう一度塗ります。仕事を休み、夫と2人でモクモクと作業しました。
小さなベランダですが、用意する木材は結構多いのですね。
1階の壁は珪藻土にしました。友人にも手伝ってもらい、5人で仕上げました。最初は恐る恐るだったのが、最後はかなりおおざっぱな塗り方に。
珪藻土壁の仕上がりは、かなりガタガタ。この道何十年の左官屋さんには、「アートだね」と言われましたが(笑)、この適当な感じが私たちにはちょうどいいのです。
住んで1年半。子どもたちが沢山遊び、イスを倒し、物を落とし…で、床の傷はますます増え、日差しで色も変わってきました。でも、無垢床の気持ちいい肌触り、香り、温もりが四季を通じて実感でき、愛着はそれ以上に増しています。
もちろん床だけではありません。家族全員、家が大好きで、世界で一番居心地のよい場所だと実感しています。
施工時にDIYを体験したおかげで、夫は電動ドライバーや下地センサー(壁内の構造材の位置を探す道具)を購入し、「ここに棚を造ってよ」なんて言うと気軽に取り付けてくれるようになりました。私も定期的に床にオイルを塗ったりと、家のメンテナンスを気負わずにできています。
すてきなカフェオーナーたちが誇らしげだった理由が、少し分かるような気がします。
渡部和泉 わたなべ いずみ
ライター、フードコーディネーター。 著書に「季節の手づくりジャムの本」、「私サイズの小さなカフェ」などがあり、自宅で少人数制のお菓子教室「atelier mel」を主宰する。 東京の郊外に建てたタカキホームの注文住宅で、夫と娘の3人暮し。 https://www.facebook.com/ryouriwatanabeizumi/